公開日2025.2.4
ヴィム・ヴェンダース監督の『パーフェクトデイズ』という映画をみました。カンヌ映画祭で主演の役所広司が男優賞を受賞しています。興行収入は37億円でヴェンダース作品のなかでは最高額とのこと。物語の主人公平山は東京の公衆トイレ掃除の仕事をひたすら真面目にこなしている男。公園の木々と木漏れ日を愛しながら静かで満ち足りた生活をおくっています。それがいくつかの出来事や人物との出会いをとおして揺り動かされます。そんな主人公と東京の街なみを太陽のひかりがやさしく包み込みます。
全体としてはとても静かで繊細な映画なのですが、なにが世界中のひとびとの心を動かしたのでしょうか?ふだん人はにぎやかで楽しい生活を追い求めていますが、平山の生活はそれとはまったく逆。それでも心は満たされている。通常の生活とは対極にある生活のあり様はわたしたちの日常を映し出す鏡のようで、忙しい生活のなかで忘れていたものを思い出させてくれる役割をはたしているのではないでしょうか?
役所広司の演技もよかったですね。味わい深く心にしみわたる映画でした。