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院長コラム

「精神的な逸脱の判定」

精神科医の仕事をしていると、ある人が「正常か異常か」を判定しなければならない場面があります。自分が他人の「正常・異常」を判定できるほど立派な人間なのかという疑問はわきにおいて行うことになるわけですが、その人が話していることが自己矛盾しているかいないかという点や周囲の人々の話とあまりにもかけ離れているかいないかという点は参考になります。

精神医学の教科書では正常・異常の判定に「統計基準」と「価値基準」の話がでてきます。統計基準というのは一般的な人々のあり方の平均的な基準にどれだけ近いか遠いかをみていくというものです。価値基準はその人が住んでいる社会での良い悪いという価値観からして良い方に傾いているのか、悪い方に傾いているのかをみるものです。最近の世界的な診断基準であるDSM5では「正常と異常は連続体である」という考え方が基本になっていて判断を難しくしているところがあります。

いずれにせよ精神科医自身の常識的な感覚が基本にあって、それにもとづいた判断になります。最近では人工知能(AI)の進歩によって「人間がものごとを理解するとはどういうことなのか」という点についてあたらしい側面から光があてられています。精神的な逸脱の判定についてもAIの活用がなされていくようになるのかもしれません。

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