公開日2024.2.3
『さかなクンの一魚一会(いちぎょいちえ)』という本を読みました。さかなクンはみなさんもご存知のテレビの人気者のお魚はかせですが、子どものころからとてもこだわりの強い人だったようです。最初はトラックにこだわり、次に妖怪、最後にタコを経由して魚に関心がうつったようです。とにかくひとつのことに関心がむくとそのことばかりで頭がいっぱいになってしまい、勉強はそっちのけで魚の図鑑を調べたり魚との出会いをもとめていろいろな人に会ったり。絵を描くのも好きだったそうで魚の絵ばかり描いていた。中学生のときには素人ではじめてのカブトガニの人工孵化に成功、高校時代にTVチャンピオンという番組の全国魚通(さかなつう)選手権で優勝してその後5連覇を達成。魚以外のことは勉強していなかったことがたたってあこがれの東京水産大学(現、東京海洋大学)には進学できず専門学校にかよい、紆余曲折のすえにTVでおさかなクンとして活躍するようになる。そこからまた紆余曲折があって最終的にあこがれの東京海洋大学の客員准教授に就任!まさに「芸は身を助く」を体現しているような人生です。ふつうからするとちょっと変わり者のさかなクンを支えたお母さんをはじめとした周囲のひとびとの思いやりも心を打ちます。
さかなクンほど極端ではなくてもわたしたちは生きている間に興味をひかれるテーマや対象に出会います。そしてそのような出会いがときには人生のつらい時期や老後の人生をささえたりすることもあります。ある哲学者はそのようなテーマとの出会いを結婚にたとえて死にいたるまでそのテーマと添いとげることがしあわせなのだといいました。それほどおおげさな出会いではなくとも趣味に没頭する時間がひとの気持ちをリフレッシュして救ってくれることもあるでしょう。
一期一会というとふつうは人との出会いをいいますが、一魚一会を自分にとっての没頭できるテーマ・対象との出会いと考えれば普遍的な話だとおもいました。