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院長コラム

ポジティブ精神医学

令和5年6月老年精神医学の学会に参加しました。そのときに印象にのこったのが「ポジティブ精神医学」の話でした。人間の心理現象の不安やうつなどのネガティブな側面に注目していた従来の心理学から健全性や価値などのポジティブな側面に注目するポジティブ心理学のことは知っていましたが精神医学の分野でのポジティブシフトについてはあまり認識していませんでした。

ポジティブ精神医学のなかでウェルビーイング思考が重視されますが、ウェルビーイング思考とは持続的な幸福や意味・価値がある人生のための思考法という意味です。ウェルビーイング思考ではたとえばうつ病がある人であっても意味・価値がある人生を送ることができるという見方をします。認知症があってもしあわせになれるという考え方もあります。

問題解決思考(Problem Oriented System; POS)と健康生成思考(Wellness Oriented System; WOS)があって、POSでは問題が生じている原因を追求してそれを取り除こうと試みます。いっぽうWOSではどうしたら健康になれるかを考えて自分に与えられている資源(リソース)を活用しようとします。ポジティブな観点(WOS)とネガティブな観点(POS)は両方必要で、その比率は3:1程度がよいという研究結果があります。

あたらしい精神医学の動向に希望を感じました。

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