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院長コラム

人工知能と精神科医療

2022年11月にOpen AIというアメリカの企業が発表したChatGPTという人工知能(AI)が社会に衝撃をもたらしています。第4次AIブームの到来、インターネットの発明以上の革命ともいわれています。文章の翻訳や要約、結婚式のスピーチの作成、コンピューターのプログラムコードを作成するなど多彩な機能があり、私も使ってみてその自然で的確な言語機能と生成能力におどろきました。

精神科医療にもAIがさまざまな影響をおよぼすことが予想されます。まずは診断支援の分野でその方の画像や音声データの分析やスマートウォッチによる活動性・脈拍・心電図などのデータの活用などが考えられ、これまで以上に精神疾患の診断精度を上げることが期待されます。治療の分野でも心理療法やカウンセリングへの活用、創薬におけるAI活用などもあるようです。認知症の分野ではその方が20歳のときに書いた文章を読み込ませて高齢になってからの認知症の発症を予測できるというような話も聞いたことがあり、空恐ろしいような気持ちになりました。

さまざまな課題もあります。AIを医療分野で応用するためには大量の医療データを学習させる必要があり、その場合の個人情報の保護をどうすべきか?AIがある結果を出力した場合にそのプロセスが複雑で人間が簡単に説明できないためブラックボックス化されるという問題や医療事故が起きた場合の責任は誰がどのように負うのかという問題、患者・医療者のAIについての理解に格差が生じるリテラシーの問題などなどです。

いずれにせよ私たちは新しい時代がやってきたことを受け止めて、AIと共存する社会を真剣に考えていかなければならないようです。

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